半年で新人エンジニアを自走できるように育てた方法【メンター体験談】

新人エンジニア

エンジニアには様々なエンジニアがいると思いますが、本記事ではITエンジニアの育成について書いています。

昨今、エンジニア人材の不足が深刻な問題となっています。さらに、経験者の採用が難しく、対策として新人エンジニアをどう社内で育ているかが注目されています。新人エンジニアの育成のため、多くの企業ではメンター制度を導入しているのではないでしょうか。本記事では、新人エンジニアを半年でリードエンジニアに育てた経験をもとに、新人エンジニアをいち早く自走できるようにするためのTipsをお伝えできればと思います。

この記事を書いた人
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Sana
  • システムエンジニア歴:5年以上
  • 新卒2年目から4人の新人エンジニアのメンター
  • プログラミングスクール卒業後、実務未経験エンジニアのフリーランス案件サポート経験あり
目次

エンジニア育成の重要性

エンジニア育成の経験がある私が思う、エンジニア育成が重要である理由をご紹介します。

エンジニア経験者採用の難しい

IT人材不足とともに、エンジニ経験者の採用はより一層難しくなっています。転職サイトTypeを運営する株式会社キャリアデザインセンターが厚生労働省の公表した「一般職業紹介状況(令和5年11月分)について」をもとに作成した図によると、エンジニアの有効求人倍率が2023年11月時点で3.9と高い値となっています。

引用: https://topics.type.jp/type-engineer/engineer-job-market-trend/2022-03/#A1

また、経済産業省が公既存統計調査データをもとに推計した『IT人材の供給動向の予測』では、IT人材需要との需給ギャップから2030年時点で最高約79万人規模でIT人材不足が生じる懸念があると公表しています。

エンジニア不足
引用: 経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 

さらに、IT人材の平均年齢は上昇し、高齢化が進展することも予想されています。こうした状況から、エンジニアが今後一層不足し、企業にとって即戦力となるエンジニア経験者の採用がさらに難しくなると予想できます。

エンジニア文化の形成

エンジニア育成は、エンジニアを育成するだけではなく、企業内でのエンジニア文化を築く手段となります。企業内のエンジニア文化が築かれることによって、優秀なエンジニアが働きやすい環境を作ることができ、企業内にエンジニア文化が形成されます。エンジニア文化は、優秀なエンジニアの定着に繋がり、企業にとって強みの1つとなります。

エンジニア育成が難しい理由

エンジニア育成は重要であるのにもかかわらず、多くの企業がエンジニア育成に苦労している状況です。メンター経験がある知り合いのエンジニアも難しいと言っていました。メンター経験がある私が思うエンジニア育成が難しい理由についてお伝えします。

エンジニアには、多岐にわたるスキルが必要

エンジニアはただ、プログラミングができれば良いわけではありません。エンジニアリングの知識に加えて、下記のスキルが必要とされています。

  • エンジニアリングの専門知識
  • 論理的思考力
  • コミュニケーション力
  • ドキュメント力
  • 理解力

エンジニアになった理由として、黙々作業が好き、技術が好きという方も多いですが、実際の職場では、他部署やチームメンバーと円滑にやりとりするための、コミュニケーション力、ドキュメント力、理解力が求められることが多くがあります。エンジニアは多岐にわたるスキルが要求されるため、メンターにもエンジニアリングだけではなく、多岐にわかるスキルを持ち合わせておく必要があります。加えて、当然のことながら育成する側には指導力も必要となります。

エンジニアリングに答えがない

エンジニアは、課題や要望に対してITを使いどう実現していくかを考えていく役割を担います。そのため、システム設計1つのとっても、一般的に良いとされているセオリーや理論は存在していますが、答えがありません。そのため、エンジニア1人1人が課題や要望と向き合い、様々観点から最適だと思われる実現方法を実行していく必要があります。エンジニアを育成する場合、共に答えがない問題に取り組みながらも、課題解決、要望実現するための思考法や実行法を教育する必要があり、育成する側はエネルギーを使います。

エンジニア育成体制がない

働き方の多様化、エンジニアの人材不足により、チーム内のエンジニア体制が固定されないケースが多く存在します。その場合、エンジニア体制が整わないまま、新人エンジニアを受け入れることとなり、エンジニア育成が難しい状況となります。また、育てるエンジニアもエンジニア育成を専任しているわけではなく、他の作業をしつつエンジニア育成をする状況下であることが多く、エンジニア育成に十分な時間を確保するのが難しいです。

新人エンジニアに必要なのは「自分で考える癖」

いち早く新人エンジニアを育てるには、「自分で考える癖」をつけるようにメンタリングすることが重要です。「自分で考える癖」が、エンジニアにとって重要な理由について説明します。

柔軟に対応でき、成長が早い

「自分の考える癖」がつくと、様々なタスクに対応することができるだけではなく、なぜうまくできなかったのか、次はどのようにしたらよいのかを考えるため、成長が早くなります。エンジニアに求められるスキルは多いだけでなく、エンジニア技術が時代によって変化していくため、特定のスキルや技術だけを習得しても、長期的に活躍できるエンジニアになれるわけではありません。そのため、「自分で考える」=「自走力」をつけることによって、新人エンジニアが自分自身で成長し、職場で活躍してくれる人材になっていきます。

育てる側の負担を軽減できる

職場で、新人エンジニアを育成する時、おそらく多くエンジニアは他のエンジニア業務がありながらも、新人エンジニアの育成を担当しているのではないでしょうか。私の場合は、ディレクターやリードエンジニアをやりながら、新人エンジニアを育成担当をしていました。新人エンジニアが「自分で考える癖」をつけることによって、新人エンジニアがどうしたら良いのかを考えるので、全てを教える必要がなくなり、育成コストを抑えることができます。

新人エンジニアが自走できるように育てるためのTips

ここからは、新人エンジニアを半年でリードエンジニアに育てた経験から、新人エンジニアを自走できるように育てた際に取り組んでいたTipsをお伝えしたいと思います。

夕会を設定する

定期的な話す機会を設定することで、新人エンジニアのタイムマネジメントができるだけではなく、新人エンジニアが自ら、自分の考えをアウトプットできる場ができ、より自分で考える力を向上させることができます。育てる側は、新人エンジニアから作業の結果だけを報告してもらうのではなく、なぜ作業したのかという背景を聞くことを意識することで、新人エンジニアが自身で考えを整理することができます。

また、新人エンジニアの中には、気軽に先輩、メンターに相談できる人もいれば、どんなに「わからないことがあったら相談してね」と伝えたとしても、相談しづらいという人もいます。そのため、相談できる時間をあえて取ることで、お互いの信頼関係が深まり、相談しづらいという雰囲気を払拭することができます。

定例であれば、アウトプットする場の提供や相談しづらいという課題の解決ができそうですが、個人的に夕会がおすすめです。夕会をおすすめする理由は、2つあります。1つ目は、今日の悩みは今日解決した方が良いと思うからです。考えすぎてしまって、何すれば良いかわからなくて、次の日を迎えるのではなく、ある程度方向性が見えている状態で1日の仕事が終わるのが気持ちが良いと思います。2つ目は、残業しすぎることを防ぐためです。新人エンジニアはタイムマネジメント力が弱い、リモートワークで他者の目がないことで、働きすぎてしまうことがあります。考えてすぎてしまっている場合は、仕事のことを考えすぎないことも大切です。

タスクに取り掛かる前に作業設計

自走力をつけるためには、タスクにどう取り組むのかを考えることが重要です。新人エンジニアの場合、とりあえずタスクに取り組もうとしてしまいます。その結果、本来注力しなくても良い箇所に時間を取られてしまう、目的を見失うことが起きてしまい、作業時間を無駄にしてしまいます。作業時間を効率的に使うためにも、タスクに取り掛かる前に新人エンジニアに作業設計を依頼し、タスクの取り組む方の認識合わせをしておくことが重要です。このことは、エンジニアに必要な論理的思考力をつけるだけで、仕事における認識合わせをする重要性が理解することでコミュニケーション力の向上にもつながります。

タスクにどう取り組むのかという方法論を考えることを定着させることで、異なるタスクになった場合も共通な方法論に従って、作業を進めることができ、自走できるようになっていきます。

否定しない、自分の意見を押し付けないで褒める

新人エンジニアの考えや取り組み方が明らかに間違っていたとしても、否定しない、自分の意見を押し付けないようにしましょう。否定しまう、意見を押し付けてしまうことで、新人エンジニアの考える幅を狭くしてしまいます。考える幅を広くしておくことで、自分の中での正解を見つけられるようになります。また、何度も否定や意見の押し付けされてると、この人の意見に従えば良いと思い、モチベーションが下がり、新人エンジニアが受け身の姿勢になってしまいます。

もし、明らかに間違っていた時は、過程を褒めることをおすすめします。育成において、取り組んだ過程が重要であり、結果は正しい過程を上に成り立つため、過程で良かった点を褒めることで次の取り組みに活かすことができます。

すぐに答えを教えない

新人エンジニアを自走できるエンジニアに育てる時に、最も重要なのは答えを教えないということです。期限までギリギリ、基本となる知識がない場合は、答えを教えることが必要ですが、基本的にはすぐに答えを教えないことが重要です。答えをすぐ教えてしまうと、新人エンジニアは、取り組む目的からどう取り組むかを考えるのではなく、答えを出すことに注力してしまいます。

もし、新人エンジニアが困っている様子であれば、困っている背景を確認した後、取り組む目的からどうしたら良いのかを一緒に考えたり、答えを導くための考え方や探し方にヒントを与えるようにするのがおすすめです。

新人エンジニアを育成すること大切

即戦力になる優秀エンジニアを採用するのが難しくなっている中で、新人エンジニアは、今後のエンジニア組織を作ってくれる大切なメンバーです。組織で新人エンジニアを育てて、強いエンジニア組織を作っていきたいですね。

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